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― ばあ・ばあ・ばあ!あのババアはどこだ?ほらあそこにすわっていただろう、あのベンチにさあ?
― あそこにババアがすわっていただなんて、よくおわかりですね?
― わかるさ、だってババアの匂いがするからね。(ベンチの匂いを嗅ぐ)
― あそこに座っていたのは若い奥さんですよ。今、クローゼットを片付けに、自分の部屋へ行ってしまいましたがね。
(1936年 8月)